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デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件とは?2026年の追加要件・達成できなかった場合どうなるか解説

公開日:2025/6/17 更新日:2026/3/12
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デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、中小企業者が業務効率化のためのITツールを導入する際に、発生する経費を支援する補助金です。申請するためには、様々な要件を満たす必要がありますが、その中には賃上げに関する要件も含まれます。

賃上げ要件を達成できなかった場合、交付された補助金の返還を求められる場合があるため注意が必要です。本記事では、デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件と、達成できなかった場合どうなるかについて解説します。

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デジタル化・AI導入補助金とは?【2026年・令和8年度】補助率や申請枠・変更点についても解説

この記事の目次

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デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件とは

デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件は、申請枠によって異なります。

普通枠要件
通常枠5万円~150万円未満 :加点要件
150万円~450万円以下 :必須要件
インボイス枠(インボイス対応類型)加点要件
インボイス枠(電子取引類型)加点要件
セキュリティ対策推進枠加点要件
複数社連携デジタル化・AI導入枠賃上げ要件なし

全部で5つの申請枠・類型の内、賃上げ要件があるのは、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)・インボイス枠(電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠の4つです。複数社連携デジタル化・AI導入枠については、賃上げ要件がありません。

ほとんどの申請枠で賃上げは加点要件であるため、審査を有利に進めるために任意で取り組む要件となります。ただし、通常枠で150万円以上の補助金額を申請する場合に限っては、必須要件となります。

賃上げ要件に取り組む場合、申請前にあらかじめ従業員に賃上げ計画の表明が必要です。具体的な表明方法は、以下のような方法があります。

・社内掲示板等への掲載
・朝礼時・会議・面談時等に口頭で表明
・書面・電子メール

なお、申請時に表明したと申告したにも関わらず、実際には表明していなかったことが判明した場合、交付決定が取り消しとなるためご注意ください。

2026年度以降の新たな追加要件

2026年度に旧IT導入補助金からデジタル化・AI導入補助金に変更されて以降は、賃上げに関する新たな要件が追加されました。IT導入補助金2022~2025で交付決定を受けた事業者が再度申請する場合、各申請枠で定められている賃上げ要件に加え、以下のすべての要件を満たす必要があります。

以下の全ての要件を満たす3年間の事業計画を作成・実行し報告すること
①事業計画期間に、非常勤を含む全従業員の1人当たり給与支給総額の年平均成長率を「物価安定の目標」+1.5%以上向上させる
②交付申請時点で賃金引上げ計画を従業員に表明する
※要件未達・効果報告未提出の場合は全額または一部返還

IT導入補助金2022~2025で交付決定を受けた事業者は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を「物価安定の目標」+1.5%以上向上させることが求められます。日本銀行によると、物価安定の目標は2%に定められているため、2%+1.5%=3.5%以上の賃上げが必要となります。

該当する事業者は、あらかじめ確認しておきましょう。

参考:日本銀行 2%の「物価安定の目標」

申請枠ごとの詳しい賃上げ要件

デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件は、申請枠によって少し異なります。ここでは、申請枠ごとの賃上げ要件を詳しく紹介します。

なお、申請するためには、申請時点で事業場内の最低賃金が法令で定められた地域別最低賃金以上である必要があります。

通常枠

通常枠では、補助申請金額と、IT導入補助金2022から2025までの間で交付決定を受けたかどうかで賃上げ要件が異なります。該当する場合、以下の賃上げ要件を満たす3年間の事業計画を策定・実行する必要があります。

補助申請金額が150万円未満の場合
2022から2025までに交付決定を受けた・1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上向上
2022から2025までに交付決定を受けていない
補助申請金額が150万円以上の場合
2022から2025までに交付決定を受けた・1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上向上
・事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円以上
2022から2025までに交付決定を受けていない・1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上向上
・事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円以上

補助申請金額が150万円未満で、IT導入補助金2022から2025までの間に交付決定を受けていない事業者を除いて、賃上げ要件は必須となります。1人当たり給与支給総額の計算に関しては、非常勤の従業員も含まれます。

なお、以下に該当する場合、賃上げ要件は必須ではありません。

- 常時使用する従業員数が5人以下の商業・サービス業者
- 常時使用する従業員数が20人以下の宿泊業・娯楽業
- 常時使用する従業員数が20人以下の製造業・その他業種
- 健康保険法、国民健康保険法、労災保険及び自賠責保険の対象となる医療等の社会保険医療の給付等を行う保険医療機関及び保険薬局
- 介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービスや施設サービスを提供する介護サービス事業者
- 社会福祉法に基づく第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業及び更生保護事業法に規定する更生保護事業を行う事業者
- 学校教育法に基づく学校、専修学校、修業年限が1年以上等の一定の要件を満たす各種学校

賃上げでさらなる加点を受けたい場合

通常枠で、賃上げによりさらなる加点を受けたい場合、加点要件として以下を満たす必要があります。

補助申請金額が150万円未満の場合
2022から2025までに交付決定を受けた・1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)
2022から2025までに交付決定を受けていない・1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)
補助申請金額が150万円以上の場合
2022から2025までに交付決定を受けた1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上向上
事業場内最低賃金:地域別最低賃金+50円以上
2022から2025までに交付決定を受けていない1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上向上
事業場内最低賃金:地域別最低賃金+50円以上

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠のインボイス対応類型では、賃上げは加点要件であり、審査を有利に進めるために任意で取り組む要件となります。具体的な要件は、IT導入補助金2022から2025までの間に交付決定を受けたかどうかで異なります。

加点を受けたい場合、3年間の事業計画期間において、以下の要件をすべて満たす計画を作成し実行することが必要です。

2022から2025までに交付決定を受けた・1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)
2022から2025までに交付決定を受けていない・1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)

これらの要件を達成することで、申請内容の評価が高まり、採択の可能性を高めることができます。

インボイス枠(電子取引類型)

電子取引類型では、賃上げは任意で取り組む加点要件となります。インボイス対応類型と同様、IT導入補助金2022から2025までの間に交付決定を受けたかどうかで要件が異なります。

加点を受けたい場合、3年間の事業計画期間において、以下の要件をすべて満たす計画を作成し実行してください。

2022から2025までに交付決定を受けた・1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)
・中小企業・小規模事業者以外は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を5%以上向上
2022から2025までに交付決定を受けていない・1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)
・中小企業・小規模事業者以外は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を5%以上向上

インボイス枠(電子取引類型)を申請する事業者で、中小企業や小規模事業者以外に該当する場合、給与支給総額の年平均成長率を3.0%~3.5%以上引き上げる必要があります。
インボイス枠の電子取引類型では、事業規模に応じて要件が異なる点にご注意ください。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠では、賃上げは任意で取り組む加点要件となります。他の申請枠と同様、IT導入補助金2022から2025までの間に交付決定を受けたかどうかで要件が異なります。

加点を受けたい場合、3年間の事業計画期間において、以下の要件をすべて満たす計画を作成し実行してください。

2022から2025までに交付決定を受けた・1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)
2022から2025までに交付決定を受けていない・1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上向上
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上(+50円以上でさらなる加点)

採択の可能性を広げたい場合、上記の賃上げの加点要件に取り組みましょう。

賃上げ要件の具体的な計算例

各申請枠の賃上げ要件には、「3年間の事業計画期間で給与支給総額の年平均成長率を3%以上」という内容が含まれますが、具体的にどのくらいの賃上げを求められるのでしょうか。

一例として、年間の給与支給総額が1,000万円・2,000万円・5,000万円の3パターンで、3年間の事業計画で年平均成長率を3%以上に引き上げた場合の給与総額のシミュレーションは以下のとおりです。

事業計画年度 給与支給総額
1,000万円 2,000万円 5,000万円
1年目 10,300,000円 20,600,000円 51,500,000円
2年目 10,609,000円 21,218,000円 53,045,000円
3年目 10,927,270円 21,854,540円 54,636,350円

給与支給総額が1,000万円であれば3年目には10,927,270円、2,000万円なら21,854,540円、5,000万円なら554,636,350円という結果になりました。

なお、給与支給総額とは、全従業員及び役員に支払った給与等(給料・賃金・賞与及び役員報酬等)の合計額を指します。福利厚生費・法定福利費・退職金は対象外なので、計算に含めないようにしましょう。

賃上げ要件を達成できなかった場合どうなる?

賃上げに取り組む計画を立てた上でデジタル化・AI導入補助金を申請し、採択後に達成できなかった場合、減点又は補助金返還を求められる可能性があります。

要件未達の措置内容は、加点要件か必須要件かによって異なります。

加点要件の場合

賃上げが加点要件である通常枠の150万円以下、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠の場合、効果報告で未達が報告されてから18カ月間、中小企業庁が所管する補助金の申請時に大幅な減点を受けます。

中小企業庁が所管する補助金は、ものづくり補助金小規模事業者持続化補助金・中小企業省力化投資補助事業等がありますが、今後こういった補助金に申請する際、減点対象となるためご注意ください。ただし、災害により著しい損失を受け、やむを得ず加点要件を達成できなかったと認められる場合は、減点は免除されます。

今後他の補助金の申請時に不利にならないためにも、実行可能性の高い事業計画が必要です。

必須要件の場合

賃上げが必須要件である通常枠の150万円以上の場合、交付された補助金の全額又は一部の返還が求められます。具体的な返還額は、以下の表をご覧ください。

【補助金額450万円で事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合】

未達となった効果報告年度返還額
1年度目450万円(全額)
2年度目300万円(2/3)
3年度目150万円(1/3)

事業場内最低賃金の増加目標+30円(または+50円)が未達の場合、補助金額を計画目標年数である3年で割り、残りの効果報告年度を乗じた金額の返還を求められます。一例として、補助金額450万円で3年度目に未達だった場合は、450万×1/3(残りの効果報告年度)=150万円の返還となります。

【補助金額450万円で給与支給総額の増加目標が未達の場合】

未達となった効果報告年度返還額
1年度目
2年度目
3年度目450万円(全額)

給与支給総額1.5%以上の増加目標に関しては、事業計画終了時点の3年度目に判定されます。3年度目の効果報告で達成できなかった場合、交付された補助金額の全額返還を求められる可能性があります。

ただし、付加価値額増加率が年平均成長率1.5%に達しない場合や、天災等事業者の責めに帰さない理由がある場合は、上記2つの返還は求められません。

デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件に関するよくある質問

最後に、IT導入補助金の賃上げ要件に関するよくある質問を紹介します。

全ての申請枠で賃上げ要件は必須?

いいえ。IT導入補助金では、通常枠で150万円以上の補助額を申請する場合のみ必須で、それ以外は加点要件です。

事業場内最低賃金とは?

自社で最も低い時給水準のことです。この事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上の引き上げることが求められます。

賃上げ計画はいつまでに表明すればいい?

補助金の申請前に従業員へ表明しておく必要があります。

1人あたりの賃金を上げれば要件を満たせる?

いいえ。最低賃金の引き上げと給与支給総額の増加の両方が必要です。

給与支給総額の計算には、ボーナスや役員報酬は含まれる?

給与・賞与・役員報酬は含まれますが、福利厚生費や退職金は含まれません。

天災などで計画が達成できなかった場合も返還が必要?

災害等の理由でやむを得ないと判断できる場合は、返還や減点が免除されることがあります。

賃上げ以外に加点要件はある?


まとめ

デジタル化・AI導入補助金を活用する際は、賃上げ要件の内容や取り扱いをあらかじめ確認しておくことが大切です。加点要件でも未達成の場合に影響を受ける可能性があるため、実現可能な計画を立てた上での申請が求められます。

補助金の活用を検討している方は、制度の全体像を把握し、自社に適した申請枠や取り組みを見極めましょう。

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