働き方改革推進支援助成金の中にある「労働時間短縮・年休促進支援コース」とは、時間外労働の削減や有給休暇等の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援する制度です。
予算の関係で締め切り日前に申請受付を終了することもあるため、早めに情報をチェックしておきましょう。今回の記事では、「働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コース」の要件や支給対象者などを詳しく解説します。
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この記事の目次
働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コースとは
「働き方改革推進支援助成金」とは、生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業を支援する事業主団体に対して助成金を支給する制度です。中小企業における労働時間の改善促進を目的として複数のコースが設置されています。
その中で、今回ご紹介するのは「労働時間短縮・年休促進支援コース」です。このコースでは、生産性を向上させて時間外労働の削減したり、年次有給休暇や特別休暇の取得を促進したりするための環境整備に取り組む中小企業事業主を支援しています。
締め切り日前に予算終了となることもあるため、こまめに情報をチェックして申請遅れがないようにしましょう。
働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コースの助成額
以下いずれか低い方が助成額です。
(1)成果目標1から3(後述)の上限額、および賃金加算額の合計額
(2)対象経費の合計額 × 補助率3/4 *ただし、常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象となる取り組み(後述)の中から6〜9を実施して、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
(1)の上限額とは以下ア〜エの通りです。
ア:成果目標1の上限額
事業実施後に設定する時間外労働と休日労働の合計時間数 | 現に有効な36協定において、時間外労働と休日労働の合計時間数を月80時間を超えて設定している事業場 | 現に有効な36協定において、時間外労働と休日労働の合計時間数を月60時間を超えて設定している事業場 |
時間外労働と休日労働の合計時間数を月60時間以下に設定 | 200万円 | 150万円 |
時間外労働と休日労働の合計時間数を月60時間を超え、月80時間以下に設定 | 100万円 | ー |
イ:成果目標2の上限額→25万円
ウ:成果目標3の上限額→25万円
エ:賃金引き上げの達成時の加算額
*常時使用する労働者数が30人以下の場合
引上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
3%以上引上げ | 30万円 | 60万円 | 100万円 | 1人あたり10万円 (上限300万円) |
5%以上引上げ | 48万円 | 96万円 | 160万円 | 1人あたり16万円 (上限480万円) |
*常時使用する労働者数が30人を超える場合
引上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
3%以上引上げ | 15万円 | 30万円 | 50万円 | 1人あたり5万円 (上限150万円) |
5%以上引上げ | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人あたり8万円 (上限240万円) |
働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コースの支給対象
【対象事業主】
支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する中小企業事業主です。
対象事業主 |
1.労働者災害補償保険の適用事業主である |
2.交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしている |
3.全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している |
【支給対象となる取り組み】
以下のうち1つ以上の実施が必要です。
1:労務管理担当者に対する研修
2:労働者に対する研修、周知・啓発
3:外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4:就業規則・労使協定等の作成・変更
5:人材確保に向けた取組
6:労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7:労務管理用機器の導入・更新
8:デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9:労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
研修には、勤務間インターバル制度に関するものや業務研修も含みます。原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
【成果目標の設定】
支給対象となる取り組みについて、以下の「成果目標」1〜3のうち1つ以上を選択し、達成を目指して実施しましょう。
1:すべての対象事業場において、令和5年度あるいは令和6年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行う
2:すべての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する
3:すべての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入する
上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額引き上げを「3%以上」行うことを成果目標に加えることもできます。
【事業の実施計画について】
事業実施計画には、以下の事項を盛り込み実施することが必要です。
事業実施計画 |
---|
1:実施体制の整備のための措置 すべての指定対象事業場の労働者を対象に、次の(1)〜(3)のすべてを実施すること。 (1)労働時間等設定改善委員会の設置等労使の話し合いの機会の整備 (2)労働時間等に関する個々の苦情、意見および要望を受け付けるための担当者の選任 (3)労働者に対する事業実施計画の周知 2:支給対象の事業 交付要綱に定める事業のいずれかを実施すること。なお、助成対象経費の範囲は、改善事業を実施するために交付決定日から支給申請日までに実際に支出したものであり、かつ、対象事業場が成果目標を達成するために必要な経費について別紙の範囲で認めることとする。 また、助成対象経費について、以下のとおり上限を定める。 (1)労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修を含む)の事業、および労働者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修を含む)の事業に係る経費は合計30万円まで。周知・啓発の事業に係る経費は、合計10円まで (2)外部専門家によるコンサルティングの事業に係る経費は、合計10万円まで (3)就業規則、その他規程および36協定を除く労使協定の作成・変更に係る経費は、合計10万円まで。36協定の変更に係る経費(時間外・休日労働時間数を短縮させる場合に限る)は、合計1万円まで (4)就業規則、およびその他規程、労使協定の届出に係る経費は、合計1万円まで (5)人材確保に向けた取り組みの事業に係る経費は、合計10万円まで 3:成果目標の設定 事業の内容は、成果目標の達成に向けたものとする(上記「成果目標の設定」も参照) |
【対象経費】
助成対象となる経費について、以下、経費区分と詳細を表にまとめました。
経費区分 | 詳細 |
謝金 | 専門家謝金 |
旅費 | 専門家旅費、職員旅費(外国旅費、日当、宿泊費を除く) |
借損料 | 機器・設備類、ソフトウェア等のレンタル、リース等の費用、ICTを利用したサービスの利用料(リース料、レンタル料、サービス利用料等に含まれる諸経費) |
会議費 | 会議の費用(会場借料、通信運搬費を含む) |
雑役務費 | 研修等受講料、機器・設備類、ソフトウェア等の保守費用 |
広告宣伝費 | 求人広告の掲載、合同企業説明会への出展、求人パンフレット・ダイレクトメール等の作成等の費用 |
印刷製本費 | 研修資料、マニュアル等の作成の費用 |
備品費 | 図書、ICカード、自動車(乗用自動車等を除く)等の購入費用、ソフトウェア等の購入、改良等の費用(設定費用、社員等に対する研修費用を含む) |
機械装置等購入費 | 機器・設備類の購入、改良等の費用(設定費用、社員等に対する研修費用を含む)、機器・設備類の設置、撤去等の費用 |
委託費 | 調査会社、コンサルタント会社、システム開発会社、広告代理店等への委託費用 |
【事業実施期間】
交付決定日から2024年1月31日(水)まで
働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コースの申請スケジュール
最後に、交付申請時に必要な書類とスケジュールの確認をしましょう。
【交付申請時に必要な書類】
1:事業実施計画
2:第1の2(2)の事業に取り組む前の時間外・休日労働時間数(特別条項の締結状況を含む)、労働時間が分かる書類、年次有給休暇、特別休暇の規定を確認するための書類(36協定の写し、賃金台帳の写し(交付要綱第3条第6項による賃金引き上げを実施する場合は、交付申請前1月分の賃金台帳の写し)、就業規則の写し、必要に応じて労働条件通知書の写し)
3:第1の2(2)の事業を実施するために必要な経費の算出根拠を確認するための書類(見積書等)
4:第1の1(4)を確認するための書類(就業規則の写し、年次有給休暇管理簿の写し)
5:その他、労働局長が必要と認める書類
【申請締め切り】
2023年11月30日(木)まで(必着)
※予算がなくなると11月30日以前に受付を締め切る場合もあります。
まとめ
働き方改革推進支援助成金の中にある「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、労働環境の整備に向けてさまざまな取り組みを促進する中小企業をサポートしてくれます。予算終了前に申請をするためにも、こまめに最新情報をチェックしてスムーズに申請できるようにしましょう。