中小企業新事業進出補助金の「新事業進出指針」とは?わかりやすく解説

公開日:2025/5/14 更新日:2026/1/14
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中小企業新事業進出補助金は、中小企業が新たな事業分野へ挑戦する際の負担を軽減する、心強い支援制度です。

補助金の申請にあたっては、「新事業進出指針」で定義された内容に沿った事業であることが、基本要件のひとつとなります。この指針では、補助対象となる「新事業進出」の定義が明確に示されており、申請内容が制度の趣旨に合致しているかを判断する際の重要な基準となります。

今回は、新事業進出指針について、ポイントを押さえてわかりやすく解説します。制度を正しく理解し、実効性のある事業計画を立てるために、ぜひ最後までご覧ください。

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中小企業新事業進出補助金の概要

中小企業新事業進出補助金とは、中小企業者が既存事業のノウハウを活かし、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業に進出する際の設備投資等を支援する制度です。令和7年3月で募集が終了した、事業再構築補助金の後継とも言われています。

出典:中小企業庁 中小企業新事業進出補助金

本補助金では機械設備だけでなく、システム構築費や新たに建設する建物費も補助対象に含まれます。補助対象経費や具体的な補助額については、こちらの記事で紹介していますので、あわせてご確認ください。

あわせて読みたい:中小企業新事業進出補助金 詳細と要件・公募スケジュールを解説

中小企業新事業進出補助金【2026年】要件・スケジュール・実際の活用事例を紹介

新事業進出指針とは

新事業進出指針とは、中小企業新事業進出補助金の支援対象となる「新事業進出」とはどのようなものであるかを示したものです。

本指針は、「(1) 製品等の新規性要件」「(2) 市場の新規性要件」「(3) 新事業売上高要件」の3つから構成されています。

要件内容
(1) 製品等の新規性要件新たに製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するものであること
(2) 市場の新規性要件新たに製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であること
(3) 新事業売上高要件新たな製品等の売上高が、応募申請時の総売上高の10%(または総付加価値額の15%)以上となること

指針で用いられている「新規性」という言葉は、あくまで申請する中小企業者自身にとって新しいかどうかが基準となります。日本初・世界初のように、社会全体での新しさを求められているわけではない点に注意してください。

ここからは、3つの要件それぞれについて、具体例を交えながら詳しく解説していきます。

(1) 製品等の新規性要件

1つ目の要件である「製品等の新規性要件」では、これまでとは違う新しい製品等の製造等を計画しているかどうかが見られます。補助事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって新規性を有するものであることが必要です。

本要件の「事業」とは、製品の販売、またはサービスの提供に関する宣伝等を行っている状態を指します。そのため、申請前に販売・宣伝している事業に関しては、本補助金の対象となりません。

ただし、新規事業の実施は様々な要素を考慮する必要があることから、計画の検討や相談、市場調査は申請前から進めても構いません。

製品等の新規性要件を満たす例

製品等の新規性要件を満たす例は、以下のものが挙げられます。

  • 機械加工業のノウハウを活かして、半導体製造装置部品の製造に挑戦する

対して、以下の場合は製品等の新規性要件を満たしていないとみなされます。

  • 既存の製品等の製造量または提供量を増大させる場合
  • 過去に製造していた製品等を再製造等する場合
  • 単に既存の製品等の製造方法を変更する場合
  • 製品等の性能が定量的に計測できる場合であって、既存の製品等と新製品等との間でその性能が有意に異なるとは認められない場合

一例として、過去に製造していたロボットと同じロボットを再製造する場合、新規性がないため本要件は満たしません。

【製品等の新規性要件を満たさない例】

出典:中小企業庁 新事業進出指針の手引き

【評価が低くなる例】
なお、製品等の新規性要件を満たしていても、以下のような事業計画を立てている場合は注意が必要です。

  • 事業者の事業実態に照らして容易に製造等が可能な新製品等を製造等する場合
  • 既存の製品等に容易な改変を加えた新製品等を製造等する場合
  • 既存の製品等を単に組み合わせて新製品等を製造等する場合

この3つの例では、新事業が既存事業と似た要素を持っているため、大胆な新事業進出を支援する観点から評価が低くなる可能性があります。評価を上げるためには、これまでの事業でのノウハウを活かし、中小企業者にとって新たな事業を開拓することが大切です。

(2) 市場の新規性要件

2つ目の要件である「市場の新規性要件」では、補助事業で新たに製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって新たな市場であるかどうかが見られます。

「新たな市場」とは、本補助金を申請する中小企業等にとって、これまでの事業では対象となっていなかったニーズ・属性を持つ顧客層を対象とする市場を指します。つまり、これまでとは違う顧客層にアプローチする製品等を開発する必要があるため、あらかじめ既存の顧客層を明確にしておくことが大切です。

市場の新規性要件を満たす例

市場の新規性要件を満たす例としては、以下のものが挙げられます。

  • 航空機用部品を製造していた事業者が、航空機部品の製造で培った技術を活かして、新たに医療機器部品の製造に着手する
  • 販促物の印刷を行っていた事業者が、既存事業での顧客対応力を活かして、新たに食堂等の内装工事事業に取り組む

対して、以下の場合は市場の新規性要件を満たしていないと判断されます。

  • 既存の製品等とは別の製品等だが、対象とする市場が同一である場合(既存の製品等の需要が、新製品等の需要で代替される場合)
  • 既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものである場合
  • 既存の製品等が対象であって、単に商圏が異なるものである場合

一例として、アイスクリームを提供していた事業者が新たにかき氷を販売する場合、従来の顧客層がアイスクリームの代わりにかき氷を購入することも考えられるため、本要件は満たしません。

【市場の新規性要件を満たさない例】

出典:中小企業庁 新事業進出指針の手引き

適切に要件を満たすには、既存事業と新規事業の顧客層が異なる製品等を開発し、顧客層が異なることを説明する必要があります。

(3) 新事業売上高要件

3つ目の「新事業売上高要件」では、新たな製品等に関する収支計画が、一定の基準を満たしているかどうかが審査のポイントとなります。

具体的には、新たな製品等の売上高(または付加価値額)が、事業計画期間最終年度において、申請時の総売上高の10%(または総付加価値額の15%)以上となることが見込まれる事業計画が必要です。

また、申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ、同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間最終年度において、新たな製品等の売上高(または付加価値額)が、申請時の当該事業部門の売上高の10%(または総付加価値額の15%)以上となることが見込まれる事業計画を策定することでも、要件を満たします。

本要件の、「申請時の総売上高の10%(または総付加価値額の15%)以上」という点は最低条件となります。新たな製品等の売上高がさらに大きな割合となる計画を立てることで、より高い評価を受けられる可能性もあります。

新事業進出指針の3つの要件を満たす例

最後に、新事業進出指針の3つの要件をすべて満たす例を紹介します。

【新事業進出指針の要件を満たす例】

出典:中小企業庁 新事業進出指針の手引き

ガソリン車の部品を製造していた事業者が、車両部品の製造で培った技術を活かして、新たに半導体製造装置の部品の製造に着手する場合、考え方は以下のようになります。

要件考え方
(1) 製品等の新規性要件新たに製造する半導体製造装置部品が、過去に製造した実績のない部品である
(2) 市場の新規性要件半導体製造装置部品とガソリン車部品では、半導体業界と自動車業界で明確に顧客層が異なる
(3) 新事業売上高要件事業計画期間最終年度において、半導体製造装置部品の売上高が応募申請時の総売上高の10%(または総付加価値額の15%)以上となる計画を策定

上記のように、3つの要件すべてを満たす事業計画を立てる必要があります。

なお、今回紹介したものはあくまで一例です。全く同じ内容で申請した場合でも、審査等により不採択となる可能性もあるため十分注意してください。

まとめ

中小企業新事業進出補助金では、複数の基本要件が定められており、そのうちの1つが「新事業進出要件」です。

この要件では、「新事業進出指針」に示された定義に該当する事業であることが求められ、さらにその指針は「製品等の新規性」「市場の新規性」「新事業売上高の見込み」という3つの要素で構成されています。本記事では、この新事業進出要件に含まれる「新事業進出指針」について詳しく解説しました。

申請を検討している方は、まず自社の計画がこれらの要件に適合しているかを確認し、公募要領や関連資料を参照しながら、制度全体を正しく理解したうえで申請に臨みましょう。

参考:中小企業庁 新事業進出指針
参考:中小企業庁 新事業進出指針の手引き

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