
地方で事業を展開している方や、地方向けの事業を検討している方にとって、自治体の「補助金」情報は重要な資金調達手段のひとつです。しかし、補助金は毎年同じものが提供されるわけではなく、自治体の「本予算」や「補正予算」によってその内容が変わることをご存じでしょうか?
地方自治体の予算には、年度当初に決定される「本予算」と、年度途中で追加される「補正予算」があります。これらの予算の動向を知ることで、どのタイミングでどのような補助金が出るのかを予測できるため、補助金活用の戦略を立てるうえで非常に役立ちます。
本記事では、地方自治体の本予算と補正予算の違いを解説し、それぞれが補助金にどのように影響するのかを解説します。補助金の活用を検討している方に向けて、「地方でどんな補助金が出るのか」「事業に適した補助金をいち早く見つける方法」など、効果的な補助金戦略を立てるためのポイントをお伝えします。来年度の事業計画に役立つ補助金の探し方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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この記事の目次
「地方自治体の予算」とは?
地方自治体の予算は、地域の行政サービスを運営するための資金計画であり、自治体ごとに決定されます。この予算によって、道路整備や福祉、教育、産業振興などさまざまな施策が実施され、その一環として事業者向けの補助金や助成金も予算内で確保されるのが特徴です。自治体の予算には大きく分けて「本予算」と「補正予算」があり、それぞれの性質によって補助金の提供時期や内容が変わるため、違いを理解しておくことが重要です。
地方自治体の予算の基本
自治体の予算は、国と同じように「歳入」と「歳出」に分かれます。
• 歳入(財源):自治体の予算を支える資金(地方税、地方交付税交付金、国庫支出金など) • 歳出(支出):自治体が公共サービスや事業のために使用するお金(教育、福祉、経済振興など) |
地方公共団体の一会計年度における一切の収入を「歳入」、支出を「歳出」といいます。
「本予算」とは?
本予算(当初予算)とは、年度当初(4月)に決定される自治体の基本的な予算のことです。
【ポイント】 • 1年間の政策・施策の方針を反映した予算 • 補助金・助成金もこのタイミングで決まるものが多い • 新規事業の予算が組まれることが多く、事業者向けの補助金が計画的に用意される |
例えば、本予算で決定される補助金の例として、以下のようなものがあります。
- 中小企業向けデジタル化支援補助金(自治体が地元企業のDXを推進するため)
- 創業支援助成金(新規起業家向けのサポート)
- 地域活性化補助金(商店街振興や観光振興のため)
本予算に基づく補助金は、制度や自治体によって異なりますが、4月〜5月頃に公募が始まるケースが多いため、年度初めに各自治体の補助金情報をチェックすることで、活用できる支援策を早めに見つけられる可能性があります。
また、本予算を前年度と比較することで、継続して実施される事業の有無を確認でき、補助金申請の準備を効率的に進めることができます。
「補正予算」とは?
補正予算とは、年度途中で追加・変更される予算のことです。経済状況の変化や災害対応など、特別な事情に応じて編成されます。
【ポイント】 • 予算が不足した場合や、新たな政策が必要になった場合に編成される • 緊急性の高い施策が対象となりやすい • 短期間での補助金公募が多く、申請期間が短い傾向にある |
例えば、補正予算で決定される補助金の例として、以下のようなものがあります。
- 感染症対策補助金(コロナ禍での事業者支援)
- エネルギー高騰対策助成金(燃料費・電気代支援)
- 災害復興支援補助金(地震や台風被害への支援)
補正予算で決定される補助金は、公募開始から締切までの期間が短いため、自治体のホームページや補助金ポータルを定期的にチェックし、最新情報を逃さないようにすることをおすすめします。
地方自治体の令和7年度予算および令和6年度補正予算のトレンド
近年、地方自治体の予算編成においては、デジタル化の推進、防災・減災対策、物価高騰対策そして地域活性化が重要なテーマとなっています。これらの取り組みは、地域の持続可能な発展と住民の生活向上を目指すものであり、各自治体が積極的に予算を投じています。これらのトレンドを把握するには、国の予算を確認することで、地方自治体の施策の方向性を予測しやすくなります。国の予算の方向性をまとめた記事もあわせてご覧ください。
地方における人材不足を補うためのデジタル化の推進
自治体のデジタル化、いわゆる自治体DXは、行政サービスの効率化や住民の利便性向上を目的として、各地で進められています。また、令和7年度予算では、新たに「デジタル活用推進事業費(仮称)」として1,000億円が計上され、自治体のデジタル化がさらに加速する見込みです。これにより、地域の課題が解決され、行政手続きのオンライン化も一層進むことが期待されています。
防災・減災対策の強化
近年の自然災害の激甚化を受け、地方自治体では防災・減災対策の強化が進んでいます。令和7年度予算では、インフラ老朽化対策や持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けた取り組みが推進される予定です。
地域活性化と地方創生
地方創生の取り組みとして、地域のSDGs達成に向けた施策や、企業版ふるさと納税の活用促進が進められています。令和7年度予算では、地方創生交付金が倍増され、地域の活性化に資する施策が引き続き展開される予定です。これにより、地域経済の活性化や住民サービスの向上が期待されています。
物価高騰対策と低所得者支援
物価高騰の影響を受ける低所得者等の生活を守るため、令和6年度補正予算では、低所得世帯支援枠の予算が計上され、特に物価高の影響を受ける低所得者を支援するための対策が実施されます。
これらのトレンドは、地方自治体が地域の課題解決や住民の生活向上に向けて積極的に取り組んでいることを示しています。社会や経済の状況に応じてトレンドは変化していくため、今後も施策の方向性や地域の発展に与える影響を注視することが重要です。
地方自治体の補正予算・本予算をチェックするポイント
地方自治体の予算を詳しく分析することで、発表される補助金の内容や、採択されやすい補助金を事前に予測できます。特に、本予算(当初予算)と補正予算の違いを理解し、それぞれの増減や新規事業の有無を把握することで、事業者にとって有利な補助金を見極めることが可能です。
ここでは、地方自治体の本予算・補正予算をチェックする際の重要なポイントを解説し、具体的な確認方法についても紹介します。
前年度の予算
毎年、地方自治体は一定の方針に沿って予算を編成しており、前年度と比較することで、補助事業がどのように変化するのかを予測することができます。例えば、前年度に実施されていた「中小企業向けデジタル化補助金」が今年も継続して実施される可能性があるのか、それとも新たな補助事業へと切り替わるのかを把握することで、早めに申請の準備を進めることができます。
また、前年度はなかった新規の補助事業が導入される場合、自治体が重点的に取り組む分野を読み取ることができます。こうしたトレンドを把握することで、自社の事業と補助金の方向性が一致するかどうかを検討し、適切な補助金を選択することが可能になります。
既存事業の予算額の変動
補助金の採択率は、自治体がその事業にどれだけの予算を割り当てるかによって大きく左右されます。そのため、既存の補助事業の予算額が増額されているか、減額されているかをチェックすることで、採択のしやすさを予測することができます。
例えば、前年より予算が増額されている場合は、補助金の採択数が増える可能性が高く、応募のチャンスが広がります。一方で、予算が減少している場合は、補助金の募集枠が減るため、より競争が激しくなることが予想されます。このように、補助金の予算額を確認することで、申請すべき補助金を見極めるだけでなく、申請の準備にどれだけの労力をかけるべきかも判断しやすくなります。
【ポイント】 • 予算が増額された補助金は、採択率が高くなる可能性があるため積極的に狙う • 減額された補助金は競争が激しくなるため、申請のクオリティを高める必要がある |
新規事業の予算額
新規事業の補助金は、自治体が新たな政策の実施を目的として導入するため、認知度が低く、競争率が比較的低い傾向があります。そのため、新規事業の補助金をいち早くキャッチすることで、他の事業者より有利な立場で申請できる可能性が高まります。
特に、自治体の新規補助事業は、その地域の重点施策を反映しているため、自社の事業方針と一致しているかを確認することが重要です。例えば、脱炭素化やDX推進を目的とした補助金が新たに設けられた場合、環境ビジネスやIT関連事業を展開している企業にとっては、追い風となる可能性があります。また、新規事業の補助金は、申請者が少ないため採択される確率が高くなることが多いですが、その分、要件や申請手続きの詳細が分かりにくい場合があります。そのため、自治体の窓口に問い合わせるなど、早めに情報収集を行うことが重要です。
【ポイント】 • 自社の事業と補助金の方向性が合致しているかを確認する • 新規補助金は競争率が低くなる傾向があるため、早めに申請準備を進めると有利 |
都道府県別-令和6年度補正予算・令和7年度補正予算リンク集
北海道:R6補正予算・R7概算要求・予算算
青森県:R6補正予算・R7概算要求・予算
岩手県:R6補正予算・R7概算要求・予算
宮城県:R6補正予算・R7概算要求・予算
秋田県:R6補正予算・R7概算要求・予算
山形県:R6補正予算・R7概算要求・予算
福島県:R6補正予算・R7概算要求・予算
茨城県:R6補正予算・R7概算要求・予算
栃木県:R6補正予算・R7概算要求・予算
群馬県:R6補正予算・R7概算要求・予算
埼玉県:R6補正予算・R7概算要求・予算
千葉県:R6補正予算・R7概算要求・予算
東京都:R6補正予算・R7概算要求・予算
神奈川県:R6補正予算・R7概算要求・予算
新潟県:R6補正予算・R7概算要求・予算
富山県:R6補正予算・R7概算要求・予算
石川県:R6補正予算・R7概算要求・予算
福井県:R6補正予算・R7概算要求・予算
山梨県:R6補正予算・R7概算要求・予算
長野県:R6補正予算・R7概算要求・予算
岐阜県:R6補正予算・R7概算要求・予算
静岡県:R6補正予算・R7概算要求・予算
愛知県:R6補正予算・R7概算要求・予算
三重県:R6補正予算・R7概算要求・予算
滋賀県:R6補正予算・R7概算要求・予算
京都府:R6補正予算・R7概算要求・予算
大阪府:R6補正予算・R7概算要求・予算
兵庫県:R6補正予算・R7概算要求・予算
奈良県:R6補正予算・R7概算要求・予算
和歌山県:R6補正予算・R7概算要求・予算
鳥取県:R6補正予算・R7概算要求・予算
島根県:R6補正予算・R7概算要求・予算
岡山県:R6補正予算・R7概算要求・予算
広島県:R6補正予算・R7概算要求・予算
山口県:R6補正予算・R7概算要求・予算
徳島県:R6補正予算・R7概算要求・予算
香川県:R6補正予算・R7概算要求・予算
愛媛県:R6補正予算・R7概算要求・予算
高知県:R6補正予算・R7概算要求・予算
福岡県:R6補正予算・R7概算要求・予算
佐賀県:R6補正予算・R7概算要求・予算
長崎県:R6補正予算・R7概算要求・予算
熊本県:R6補正予算・R7概算要求・予算
大分県:R6補正予算・R7概算要求・予算
宮崎県:R6補正予算・R7概算要求・予算
鹿児島県:R6補正予算・R7概算要求・予算
沖縄県:R6補正予算・R7概算要求・予算
まとめ
地方自治体の補助金をうまく活用するためには、本予算と補正予算の違いを理解し、それぞれの特性を踏まえて情報をチェックすることが大切です。本予算は年度当初に計画されるため、年度初めに公募される補助金を予測しやすい特徴があります。事前にどのような補助金が設定されるのかを把握することで、早めに準備を進めることが可能になります。一方で、補正予算は年度途中に追加される予算であり、国の政策や経済状況の変化に応じて新たな補助金が登場することが多くなります。特に、景気対策や緊急支援策として短期間で公募される補助金が含まれるため、定期的に自治体の情報をチェックすることが重要です。
自治体の予算情報をこまめに確認することで、自社の事業に活用できる補助金をいち早く把握し、タイミングよく申請することができます。地方で事業を展開している方は、ぜひ自治体の予算の動向に注目し、補助金を活用しながら事業の成長につなげていきましょう。
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